クラスのヒロインがもらいゲロした

短編小説

食事中の方はご注意ください。

ゲロを吐くヒロインを書きたかった……

初めて書くので不自然なところが有りましたらコメントしていただけるとありがたいです。

この作品は小説家になろうにも投稿しています。

本編

 今日僕は体の調子が悪くて学校を休んだ。

 朝から吐き気がおさまらなくて朝から胃液を吐き出している。お腹の方もゆるくて、水分補給をすればそのまま液体が流れ出るような感覚だ。

 久々に吐き気を催すけど、気分が悪くて仕方がない。お腹の中になにもないのに、こみ上げてくる吐き気はとてもつらい。体も鉛のように重い。

 ピンポーン♪

 どうやら誰かが来たようだ。居留守しようとも思ったが、少し良心が傷んだので素直に応答することにした。インターホンを覗くとそこにいたのは同じクラスの女の子、泉さんだった。

 彼女はクラスのヒロイン的存在で僕との接点はあまりない。強いて言えば僕と泉さんの出席番号が近いくらいか。

 どうして彼女がうちに?とも思ったがそのまま待たせるわけにも行かないので、重い体を動かしながら玄関へ進み、玄関の扉を開ける。

「……どうしたの?」

「ごめんね、急に来て。安達くんが学校を休んだからプリントを渡しに来たの。保護者宛の大切なプリントでできるだけ早く渡したかったんだって」

そう言うと泉さんは手に持っていたファイルをこちらに差し出してきた。

僕の暗くて小さい声とは対照的に、泉さんの声はハキハキしてきて聞き取りやすいものだった。

「…ありがとう。泉さん、それ――オェ」

「大丈夫!?トイレまで肩貸そうか?」

 少しの間だったが立って話をしていたら、吐き気がこみ上げてきた。体調が悪いときは無理をするもんじゃないな。

 遠慮しようと、首を横に振ろうとするも胃液が喉の置くまで来ていて首を横に振ったら吐いてしまいそうだった。玄関にゲロをぶちまける訳には行かないので彼女の言葉に頷き、僕は家のトイレで盛大にゲロを吐いた。

 泉さんは、僕がゲロを吐いているときに、優しく声をかけながら背中をさすってくれていた。僕だったら、ただのクラスメイトがゲロを吐いていたときに優しく背中をさすってあげられる自信がない。

 そんな優しいところも泉さんがクラスのヒロインである要因の一つであろう。

 胃液を吐き出してスッキリした僕は泉さんに感謝の言葉を伝えようと彼女の方を見ると、なんだか覇気のない顔をしていた。ちょうど僕がゲロを吐きそうで我慢していたような顔だ。

 ―――マズい! と思ったときにはもう遅かった。

「大丈―――『オオェェ』」

 泉さんはトイレの床に盛大にゲロを吐いた。トイレの便器の前には僕がいて、彼女は便器にゲロを吐くことができなかったのだ。

 僕はトイレの中がゲロで酸っぱい匂いがすることに遅れて気がついた。泉さんはこの匂いで吐き気を催したのだろう。

「大丈夫だよ、落ち着くまで吐こう? 吐いちゃえばスッキリするからさ。床のことは気をつかなくていいよ」

 すでに床は泉さんのゲロでドロドロなのだから、僕は構わずにそう言った。床は後で掃除すればきれいになるし。

 泉さんはとても申し訳無さそうな顔をしながら、僕の言葉に頷き、再び床に吐瀉物を吐き出した。

 吐き切ってスッキリした様子の泉さんがバツが悪そうに、こちらを向いて謝ってきた。

「ごめんね……安達くんは体調が悪くて家にいたのに、私が吐いちゃって……。しかも私のその、吐いちゃったのを嫌な顔せずに片してくれて……。本当にごめんね」

「大丈夫だよ。なんだか言い方が悪いけど自分より体調が悪い人を見たら、自分の体調は気にならなくなったから。床に吐いちゃったのも大部分は泉さんが片してくれたから、僕は消毒しただけだよ」

「うん……、今日はなんだかごめんね。そろそろ私はお暇しようかな。明日学校来れるといいね。それじゃあバイバイ」

「じゃあね、また明日」

 僕は玄関で泉さんが家に帰るのを見届ける。

 ……今日は体調が悪かったし、色々あって疲れたからそろそろベッドで寝ようかな。

 僕は泉さんを迎えたときより軽い体で、玄関から自分の部屋に戻る。布団の中に入って眼を瞑りながら馬鹿なことを考えていた。

 泉さんもゲロとか吐くんだなぁ

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