頭ポンポンしたらめっちゃ怒られた

短編小説

日奈「先輩、好きな人とかいないんですか?」

先輩「うーん、今は特にいないかな」

日奈「日奈は先輩のこと好きですよ〜。ほら、うりうり〜」

先輩「おいおい、急にどうした? お前、可愛いんだからこんなモブ男とつるんでないでどっかそのへんの陽キャと遊んでこいよ。俺よりよっぽど可愛がってくれると思うよ」

日奈「先輩、私のこと口説いてます?嫌ですよ〜、モブ男の自覚があるなら自重してください。陽キャグループは色々めんどくせーって感じなんですよ、だからここで先輩のこといじってる方が百倍楽しいです」

先輩「おお、嬉しいこと言ってくれるね。ただ言葉に棘があるからそれが落ちれば、より良いよ」

日奈「ああ!!!! 今、頭ポンポンした!!!! やめてください! あれですか? ちょっっっっっっと日奈が先輩のこと褒めたから調子乗ってるんですか!? いいですか? 女の子に対して頭ポンポンは大罪ですよ! それやって許されるのは漫画の中の超ハイスペック男子だけですよ! 

先輩はハイスペックとはなにか分からなそうなので具体的にあげると、高身長イケメンかつ性格は完璧、ここまでが基本条件です。学生ならこの基本条件にプラスαで勉強ができるだの運動ができるだの色々です。

そこで先輩、自分の胸に手を当てて考えてください。あなたは高身長ですか? イケメンですか? 違いますよね?? 身長は165と男の人にしては小柄で、顔はザ・普通です。 まぁ、性格は悪くはないと思いますが、性格でビジュアルを覆すほどの性格は先輩にはありません。

そして!! さっきも言いましたが漫画です! 小説です! フィクションなんですよ! そのあたり分かってますか?? 先輩は漫画の世界出身ですか? 小説の世界出身ですか? 違いますよね!?

なんでここまで切れているか分からないって顔してますね。

いいですか!? 頭ポンポンは頭を触ることなんですよ! なんか、某環境大臣みたいなこと言ったかもしれませんが、頭は人にとっていちばん大事なところです!その一番大切なところを無配慮に触られるのは嫌なんですよ! 体を触られるのももちろん嫌ですが、頭も同じなんですよ!」

先輩「なんかすまんな、そんな怒るとは思わなかったわ。昔日奈に頭ポンポンしたらめっちゃよろこんでたからさ、そのノリだった」

日奈「もう前とは違うんですよ! 昔と言ってもいつの話ですか!? それって小学1年生くらいじゃないですか? 日奈も成長して日々変化しているんです!」

先輩「でも、その恥ずかしくなったら、大きな声でまくし立てるの変わってないよ。案外俺のこと好いてくれてたりする?」

日奈「あ、すみません、流石にそれはないです。良き友人ですね」

先輩「なんかそんな冷静に返されたら俺恥ずかしい奴みたいじゃん。もっと軽く行こうぜ!」

日奈「いやぁ、恥ずかしいですね、先輩。小さい頃から知り合いの、一個下の女の子とか言うラノベみたいな関係だから調子乗っちゃたんですか? やっぱり、フィクションとの区別がついてないみたいですね。気をつけてください」

先輩「うるせぇ、俺が調子乗ってるのはいつものことだろ? それに、日奈もなんだかんだ言って、身長165cmと小柄で、顔は普通な男とラノベみたいな関係続けてるじゃねぇか」

日奈「距離感が丁度いいんですよね。女の子たちは皆おしとやかでバカ話する雰囲気じゃないし、他の男子とはキョドって話にならないから、先輩と話してるときは楽しいですよ」

先輩「おっ、デレ期来たか?」

日奈「寝言は寝て言ってください」

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